財布落とす

憔悴しきってバスに乗り家に帰る
しばらく寝てから夕食を食べていると
バス会社から電話があった
どうやら財布が落ちていたのを運転手さんが見つけ中身を見たら
俺の電話番号が書いてあるなにかがあったので
わざわざ電話を掛けてくれたのだ
中身は奇跡的に丸々無事、翌日盗りに行くと伝え電話を切った


こういう時ほど人の善意をありがたく感じることはない
こちらから連絡をしてないのに向こうから連絡してくれる事など滅多にない
2万円ほど入っていたので小田急シティバスさんになんらかの形で一割2000円を返そうと思った


俺は財布を落としたのは初めてではない
2002年アンダーワールドの来日公演で酔ってロッカーの中に財布を入れっぱなしにしてしまったことがあった
その時も警備員の人が見つけてくれてそのまま戻ってきた
そう考えると俺は幸運である


財布をなくすなんてあまりにも注意力散漫である
中身は無事とは言えさすがに自己嫌悪と一日財布が手元にない事で落ち込んだ
自分は心配性なので確認癖がある
財布や携帯電話がどこにあるか常に手で触って確認する癖がある
しかし疲れていたりベロンベロンに酔っぱらってそれを忘れたときに限って
財布をなくしてしまうのだ…


財布を落とすと面倒だ現金はなくなる、カードを止めなければいけない、財布の中身にあったものを再発行しなければならない
物質的にも精神的にもダメージは大きい
何かライフスタイルが大きく変わってしまうようなまさしく“喪失感”があるのだ
これは財布を落とした人間にしか分からないのだろう
両親に話しても「これからは注意した方が良い」とは言われずただ「良かったな」というような事を言われるだけだった
両親共に財布を無くした経験がある*1ので俺の気持ちを察したのだろう


俺は決して善人ではない
だけど財布だけは拾ったらなるべく早く持ち主の手に戻る努力をすると思う
世界の財布をなくした人を救えるような人間になりたい
全人類が拾った財布を持ち主に届けるような世の中になればいい
そんな事を思った夜だった

*1:それ以前にいい歳ぶっこいて親から説教されるのがどうだって事ですが