俺は一生ドブに居たいよ(;´Д`)

中学校時代の同級生、俺を含め三人でファミレスに夕食を食いに行き軽く飲む
俺は客観的に見てもあんまり良い中学校生活を送ってはいなかった
元来根暗ってのもあるんだけど、当時は特に病んでいた
一人はT氏中学生の頃はそれほど仲良くなかったのだが
数年前にふとした事で再会しそれ以来地元…というより近所って方が近いのだが
ちょっとした遊びに良く行く
別に趣味が合うとかいうわけでもないのだが
なんとなく生き方に共通するものがある
もう一人O氏はちゃんと会うのはもう一年ぶりくらいだ
中学生の頃はヤンキーに近かったが
非常に気が良くて物事の見据え方が大人だ
俺の素直に尊敬できる人間の一人である


というのもO氏は俺とT氏もよく知ってる中学校の同級生と数年間交際している
最近ちょっと街中でO氏と会えば口癖のように「結婚したい」と言っている
O氏はその結婚資金を貯めるために高校に通いながら既にちゃんとした職に就いて働いていた
0円から自力で結婚資金を貯めているのだ
O氏に会い仕事が忙しいと言う言葉を聞く度に己のダメさを実感する


次の日O氏は仕事だと言うのに俺達に予定を合わせてくれた
10時半頃ファミレスに着くとO氏とT氏はビールをジョッキで頼む
俺は腹が減っていたのでひとまず食ってから飲もうと思いドリンクバーを注文した
飲み物が来ると俺は乾杯の音頭を取るべく立ち上がり話し出す
数十秒話したあたりで二人は俺を無視し乾杯した


特にこれと言ったイベントなわけでもないので
どうでもいい話を延々だべっていた
晦日どうしてただの、中学校時代のあいつは今どうしてるだのそんなことだ
O氏は早く貯金を増やすべく日雇いのバイトを今の職場と掛け持ちでやりたいと言っていた
俺が「過労で死ぬんじゃない?」と言うと「仕方ないしね」と答える
俺はやっぱりO氏は偉いな…と思う
一杯だけ飲むともう遅いからと店を出た


帰り道ファミレスから近いT氏は俺とO氏より先に家に着く
別れの挨拶を交わしてからしばらく俺とO氏二人だけで話ながら帰る
貯金の一部を崩して恋人と沖縄旅行に行くそうだ
両親が旅行好きなのもあってか俺は二度ほど沖縄に行ったことがある
「ウチの両親は定年したら沖縄に永住したいとか言ってるよ」
そう俺が言うと「いいねぇ…俺もそうしたい」と言った
なにか意外な気がした
「少なくとも東京は嫌だね長野とか群馬とか」
「そうなんだ、俺は実家はないとしても仮に結婚したとしたらここら辺に住みたいな」
「へぇ…俺は地方の方行きたいな…静かなところで暮らしたい」
そんな会話をしながらO氏の家の前まで着くと「じゃあまた」と行って右と左に分かれた


俺の住んでる街は決していいところじゃない
団地が建ち並んで人ばっかり多い
女性が一人で出歩くには少しだけ不安だ
深夜中学生くらいの若者が公園で何かやってる
公衆トイレでカップルがセックスしてる
建物の壁や店のシャッターにはスプレーの落書きが目立つ
この街を一言で言うとすればドブかな…そんな事を何気なく思った事がある
それでも不思議な事に死ぬまでこの街で暮らしたいと思う
この街にしがみついて生きる理由も特にないのだが
他の所に行きたくないと言うのは
多分俺が心の奥ではこの街の汚い部分を愛しているのかもしれない…
そんな事を思った